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総論

2008年度入試動向【総論】

【志願者数はほぼ横ばい】
 2008年度の高卒者数はとうとう110万人を割り込むこととなった。ここ数年で20万人以上の減少となっており、少子化の影響を色濃く反映している。大学の全入時代の到来が叫ばれて久しいが、大学へ入りやすくなったことにより現役生の大学志願率は予想を上回る勢いで年々上昇している。また大学側も危機感を募らせ、時代にあった学部・学科の新設・増設やセンター利用入試の活用・地方会場での試験実施など積極的に入試改革を進めている。その結果、少子化が進んでいるにもかかわらず、国公立大学、私立大学共に2008年度入試では志願者数はほぼ横ばいという結果になった。大学を卒業し、新たな学部を目指す再受験生も着実に増加している。さらには進学を希望していない大学に籍を置きながら、第一志望の大学・学部を目指すいわゆる仮面浪人の存在も志願者数の維持に一役買っているだろう。


【国公立大学の動向】
 2008年度入試での国公立志願者総数は487,780名であり、2007年度入試の488,524名より744名とわずか0.2%の減少に留まった。2008年度入試ではセンター試験の平均点が高かったこともあり、積極的に国公立大学へ出願した受験生も多くいたと思われる。また、近年私立大学のセンター利用入試が増加を続けていることもあり、センター試験の受験者数は2006年度からほぼ横ばいとなっている。国公立大学といえども少子化の影響で易化が進んでいる大学・学部も数多く、以前に比べれば国公立大学への出願もそれほど敷居が高くはなくなっているということも一因だろう。
 旧帝大や医学部に関しては、年によって大学ごとの増減はあるものの少子化の影響をほとんど受けることなく、ここ数年安定して志願者を集めている。これら難関校はいずれも狭き門であり、受験生のレベルも高い。一定の成績上位者が出願する形となっており、結果的に毎年一定の志願者を集めることになる。2008年度入試では東京大学は前期日程では2007年度入試より551名多い10,083名の志願者を集めたが、これは後期日程の縮小に伴う動きであり、前期日程の志願者倍率は2007年度入試・2008年度入試共に2.9倍と変わっていない。また、学部系統別に見た場合には、「法・政治」「経済・経営・商」「工」といった系統の学部で2007年度入試を上回る志願者を集めている。一方、医療系の人気はやや落ちてきており、2007年度入試の志願者を上回ることはできなかった。
では国公立医学部の動きはどうであっただろうか。2007年度入試では前期日程で6.8%、後期日程で8.5%と2006年度入試より志願者を減らし、やや医学部に人気に翳りができてきたようにも見受けられた。また、大手予備校の模試での志願状況も芳しくなく引き続き減少が予想されていた。しかし前期日程では148名(0.9%増)、後期日程では7名(0.1%増)とわずかながらも最終的には増加に転じた。要因としては、まずセンター試験の平均点が高かったことが挙げられるだろう。また、医師不足解消のため医学部の定員の増加を認める新医師確保総合対策と緊急医師確保対策の2つの政策が実施されたことも追い風になったと思われる。2008年度入試では新医師確保総合対策は11大学(私立2校含む)で各10名計110名、緊急医師確保対策は6大学で計63名の定員の増加が認められた。国公立大学では合計すると153名の募集人員の増加となった。増加した定員枠は大学によっては推薦入試で募集するところもあるが、一般入試の募集人員を増加させた大学は軒並み志願者を増加させた。このうち増員枠を一般枠と分け、県民医療枠として募集を行った和歌山医科大学では募集人員15名の県民医療枠に170名の志願者が集まり、募集人員44名の一般枠の志願者136名を上回る結果となった。緊急医師確保対策では全国で245名の定員増が認められており、2009年度入試ではさらに定員の増加が予定されている。
前期日程・後期日程ともに志願者の増加はわずかであったが、後期日程の募集を廃止もしくは縮小する大学も多く、募集人員は前期日程が125名増加し、後期日程は129名減少した。この結果、志願者倍率では前期日程は5.6倍から5.4倍へと低下しているが、後期日程では14.3倍から16.3倍へと上昇している。受験者数でみても後期日程の倍率は8.2倍から8.4倍へと上昇しており、後期日程の難化が伺える。

■国公立医学部志願者数(人)
  2006年度 2007年度 2008年度
前期 18,331 17,092 17,240
後期 14,500 13,262 13,269
合計 32,831 30,354 30,509

 国公立歯学部は医学部と明暗を分ける結果となった。2007年度入試では前期日程で5.5%、後期日程で6.8%と2006年度入試より志願者を減少させた国公立歯学部であるが、2008年度入試でも人気低下に歯止めがかからず、前期日程では348名減(15.7%減)、後期日程では119名減(8.0%減)と大幅に志願者を減少させた。減少率も前年より増加しており、受験生の歯学部離れは確実に進んでいるといえよう。特に前期日程では志願者を増やしているのは九州歯科大学(1.4%増)と長崎大学(2.6%増)の2校しかなく、ほぼすべての大学で志願者を減らしている。徳島大学(前年比50.0%減)や新潟大学(前年比40.8%減)など大幅に志願者を減少させている大学も目に付く。さらに他の学部と比べた場合でも歯学部の志願者の減少率は目立っている。私立歯学部の志願者の減少率も大きく、受験生から見た場合、歯科医師という職業はすでに魅力的には映らなくなってきているのかもしれない。

■国公立歯学部志願者数(人)
  2006年度 2007年度 2008年度
前期 2,344 2,214 1,866
後期 1,595 1,487 1,368
合計 3,939 3,701 3,234


【私立大学の動向】
 2007年度入試でようやく志願者を増加に転じることができた私立大学であるが、2008年度もわずかながらではあるが、志願者を増加させた。しかし、大学数の多い私立大学の場合、置かれている環境によって状況は異なっている。受験生の人気は都市部の大学や名門校に偏っており、どちらにも該当しない大学では定員割れを起こしているケースも目立ってきた。また、志願者を増加させている要因としてはセンター利用入試の増加が挙げられる。受験生にとってはセンター試験さえ受けておけばいくつもの大学を受験することができるわけで非常に出願しやすいといえる。さらにセンター利用入試の複線化や地方試験会場の増設、試験日を複数設定するなど受験生のニーズに応えた入試改革が功を奏している面もある。また、学部や学科の新設も志願者の増加にプラス材料だろう。しかし、これらは一人あたりの受験校数を増加させているに過ぎないという側面もある。志願者の動向も重要な要素ではあるが、志願者の増加の割には入学者が伸び悩んでいるケースもある。少子化は確実に進んでおり、国公立大学に比べ私立大学ではより二極化が顕著に現れている。入試制度の改革によって受験しやすい環境を整えることも大切だが、今後は大学自身の中身をより充実させていく必要がでてくるだろう。


【2009年度入試展望】
 国公立大学では旧帝大を中心に後期日程の廃止・縮小が進んでいる。2009年度入試でも東北大学・京都大学・大阪大学・九州大学などの一部の学部で後期日程が廃止される。後期日程は縮小傾向にあるが、難易度は上昇してきており、前期日程での受験校の選択は慎重に行いたいところだ。また国公立医学部では緊急医師確保対策での定員増が予定されており、志願者が増加する可能性が高いだろう。一方、国公立歯学部は厳しい状況が続きそうだ。今春の歯科医師国家試験でも合格者は減少しており、医師とは異なり歯科医師は抑制の方向であることも受験生にとっては抵抗があるのではないだろうか。レベル的には決して低いわけではないので他の学部への流出は止まらないだろう。
 私立大学では2009年度入試でも学部・学科の新設や増設が多数計画されている。センター利用入試を新たに取り入れる大学も多く、より受験しやすい環境が整えられている。受験生にとっては選択肢が増えることは悪いことではない。しかし私立大学は二極化が顕著である。易化が進んでいる大学も多く、入りたいという意思さえあれば進学することは易しい状況になっている。どの大学に進学し何を学ぶのか、明確な意思を持って受験校を選ぶことをお勧めする。また、競争激化の影響で大学も広告や宣伝により力を入れてきている。情報等は入手しやすくなっているが、惑わされることも多いだろう。最終的な決断は自分でしなければならないが、先生方や先輩などいろいろな人に相談しておくのもいいだろう。時間的には大変だが、オープンキャンパスなどもよい機会だろう。







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