入試動向【総論】

2016年度 入試動向【総論】

【高校卒業者微増】

 20年前、1995年3月の高校卒業者は177万人であったが10年前の2005年3月の高校卒業者は120万人で、10年で57万人減という急激な減少であった。しかし、ここ10年は高校卒業者数の減少という大きな流れは変わらないものの、微増に転ずる年もあり緩やかな減少に変わっている。前年は4万人の減少であった高校卒業者数も2015年3月では2万人の増加となった。高校卒業者数は微増の年があったとしても、大きな流れとしては緩やかな減少が続くと予想されている。また、20年前の大学等進学率は30.6%であったが年々上昇を続け2015年3月卒業者では54.5%(大学進学率は48.8%)となった。(文部科学省 学校基本調査)

 一方で大学の新設や短大から大学への改組、学部・学科の新増設が続き、大学の入学定員は過去20年で10万人以上増えている。(文部科学省 全国大学一覧)大学入学定員の大幅増で「大学を選ばなければ誰もが大学に入学できる」状況は続いており今年4月の入学者では私立大学の実に43.2%に当たる250大学が「定員割れ」となった。(日本私立学校振興・共済事業団)大学入試全体として考えれば易化が続いていると言っていいだろう。その一つの象徴が既卒生(浪人生)の状況だ。センター試験の出願者のうち既卒生が占める割合は1990年度では38.4%で、センター試験出願者の4割近くが浪人生であった。しかし、2015年度のセンター試験では、浪人生の割合は2割を下回る18.6%にまで下がっている。(大学入試センター)「浪人してでも行きたい大学へ」という大学受験生が大きく減り「行きたい大学より行ける大学」という大学受験生が一般的になっている。現役と1浪では学力に差があるが、浪人生がこれだけ減っている状況からも大学入試全体としては「易化」と言っていいだろう。

(人)
  高校卒業者数 大学進学率 大学進学者
2005年 1,202,738 39.3% 472,897
2010年 1,069,129 47.8% 511,397
2015年 1,064,347 48.8% 519,137

【センター試験で得点調整】

  2年前の2013年度では志願者数が7年振りに57万人を超えた大学入試センター試験(以下、センター試験)だが、2015年度では確定志願者数は559,132人で前年に続き2年連続の減少となった。(前年比0.3%減)志願者の現浪別の内訳を見てみると現役生は前年に比べ1万2千人の増加(前年比2.7%増)であったのに対し既卒生(浪人生)は前年に比べ1万3千人の減少(前年比11.8%減)であった。現役志願者は増えたものの浪人志願者の減少が大きく、全体としてセンター試験の志願者は1,540人の減少となった。浪人生の減少は最近の「行ける大学志向」に加え「次の年の2015年度からの新課程入試を避けたい」という気持ちから例年以上に「大学受験を終わらせる」という受験生が多かったことも大きな要因だった。

 さて、新課程入試初年度のセンター試験の結果だが、まずは理科で17年振りに得点調整が行われたことが大きな話題となった。新課程入試初年度のセンター試験では、数学と理科で旧課程履習者への配慮から新旧両課程それぞれで出題された。このうち理科3科目では、新課程選択者と旧課程選択者で平均点に差が出た。いずれの科目も旧課程の平均点が新課程を上回り新旧の理科3科目の平均点で最大21.54点の差が付いた。これを受け得点調整が行われ最大8点の加点が行われた。数学でもI・A、Ⅱ・B ともに旧課程の方が10点程度平均点が高かったが得点調整は行われなかった。英語は例年どおり平均点のブレはごく小さいものだった。過去2年、平均点が非常に低く特に理系受験生を悩ませてきた国語であるが、平均点が一気に20点以上も上昇した。地歴公民では医学部受験生が選択することの多い地理B、倫理,政治経済の平均点が10点前後下がり医学部受験生には厳しい結果となった。

■センター試験志願者数・受験者数推移 (万人)
  2012年度 2013年度 2014年度
志願者数 55.6 57.3 56.1
(現役志願者数) 44.0 46.0 44.3
男子志願者数 31.7 32.4 31.7
女子志願者数 23.9 24.9 24.4
受験者数 52.6 54.3 53.2
受験率 94.7% 94.8% 95.0%
■センター試験 主な科目の平均点 (点)
科目 2013年度 2014年度 増減
国語 101.04 98.67 -2.37
英語・筆記 119.15 118.87 -0.28
英語・リスニング 31.45 33.16 1.71
数学ⅠA 51.20 62.08 10.88
数学ⅡB 55.64 53.94 -1.70
物理Ⅰ 62.70 61.64 -1.06
化学Ⅰ 63.67 69.42 5.75
生物Ⅰ 61.31 53.25 -8.06
地学Ⅰ 68.68 50.22 -18.46
世界史B 62.43 68.38 5.95
日本史B 62.13 66.32 4.19
地理B 61.88 69.68 7.80
現代社会 60.45 58.32 -2.13
倫理 58.83 60.87 2.04
政治経済 55.46 53.85 -1.61
倫理,政治経済 60.68 67.29 6.61

(独立行政法人 大学入試センター)

【国公立大学 4年連続志願者減】

 3年連続で減少が続いていた国公立大学一般入試の志願者数だが、2015年度入試でも志願者の減少は止まらず、国公立大学一般入試の志願者数は、前年に比べ9,874人(1.8%)減の474,546人であった。前年までの3年間で国公立大学一般入試の志願者は2万人近い減少を見せていたが、2015年度は更に1万人近い志願者減となった。(文部科学省 国公立大学入学者選抜確定志願状況)志願者減の要因としては、まず国公立大学への進学に強いこだわりを持つ既卒者が大きく減ったことが考えられる。旧課程入試最後の年となった前年に「浪人すれば国公立に手が届く」受験生も新課程入試への不安から、少なくない受験生が浪人を避け私立へ進学したと見られる。見方を変えれば、それでもあえて浪人の道を選んだ受験生は、志望校や志望学部にこだわりを持つ「少数精鋭の強敵」だったと言えよう。また、センター試験の新課程数学、新課程理科で思ったように点が伸びず、国公立大学ボーダーライン付近の受験生の一定程度が国公立大学への出願を断念したことも考えられる。一般的に国立大学より入試難易度の低い公立大学の減少幅が大きいことから推測できる。

 さて、国公立大学医学部について少し詳しく見ていこう。国公立大学全体の一般入試志願者は前年比1.8%の減少であったが国公立大学医学部は前年比7.6%減(2.459人減)と国公立大学全体より大きな減少であった。センター試験の数学ⅡB(新課程)の平均点が40点を下回るほど難しく、また理科も3科目とも新課程より旧課程の方が平均点が高かった。医学部志望の現役生にとっては厳しいセンター試験であった。また、地歴公民で医学部志望者の選択が多い地理B、倫理,政治経済ともに前年より平均点が下がった。こういったことから特に現役の医学部志望者を中心に、センター試験で思うような点が取れず最難関の医学部への出願を回避した受験生が少なからずいたと考えられる。特に後期日程の志願者は前年比12.2%減と大きく減少しており、後期日程でのより慎重な出願が見て取れる。

■国公立医学部志願者数(人)
  2013年度 2014年度 2015年度
前期 19,676 19,919 18,999
後期 12,813 12,58611,047
合計 32,489 32,505 30,046

【私立大学志願者増】

 先述のように新課程入試初年度のセンター試験は新課程履習者には厳しい結果となった。このことから、国公立大学への出願を諦める受験生や私立大学の併願校を増やした受験生がいたと考えられる。また新課程入試がどうなるか分からない中、何があってもいいようにセンター試験とは関係なしに、あらかじめ私立大学の併願校数を多くした受験生もいたと思われる。その結果、2015年度入試の私立大学志願者は前年を4万9千人上回った。(前年比1.4%増)私立大学の入学者も9千人以上増加し、定員割れの私立大学も前年に比べ15校減少した。(私立学校振興・共済事業団)とは言え、私立大学の43.2%に当る250大学が定員を満たしていないという現実もある。また、2015年度の私立大学全体の入学定員は46万4千人だが、入学者は定員を2万4千人超える48万7千人であった。入学定員を厳密に守る医学部や歯学部と私立大学全体とでは、かなり違いがある。医学部・歯学部受験生は、大学入試全体の話に惑わされることなくそれぞれの学部の入試状況をしっかり把握してもらいたい。


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